経営労務監査の構成
経営労務監査の構成

「経営労務監査」は、経営における人材マネジメントの効果的達成に資することを目的とし、企業とそこで働く人々が共に成長して行くことを基本的な視点としています。全体の構成は、企業の労務管理についての労働法令への適応状況などをチェックする「労務コンプライアンス監査」、組織運営と連動した人材マネジメントの有効性について評価、提言を行う「人材ポートフォリオ監査」、さらに従業員へのアンケート調査によって、職務を遂行する従業員の主観的な反応を把握するための「従業員意識調査」の3つからなっています。

(1)労務コンプライアンス監査
経営管理体制の骨格となる組織、職務権限などの制度確立と体系的な規程類の整備を基礎として、運用上の核となる人事制度、人事労務関係の規程・協定・法定帳簿などの整備状況を監査します。また、企業の基本戦略、人事の基本方針を確認した上で、制度運用上の問題点や違法とはならないまでもリスクが大きく望ましくないと考えられる点についても改善の提言を行います。

(2)人材ポートフォリオ監査(人材配置、組織分析)

業務の効率的な遂行を評価するために、人員、人件費、労働時間、売上、生産性などを労務関連指標としてまとめて労務諸表(Labor Statements)を作成します。労務諸表は人材バランスシートと労務プロセスシートからなり、人材バランスシートは一定時点での保有人材の構成を表し、労務プロセスシートは一定期間内の労働の執行過程と結果を表すものと言えます。

(3)従業員意識調査(職務満足度把握)
職務遂行に関連した従業員の意識調査を行い、企業運営の成果である業績 (Business Performance=P)と職務満足度 (Employee Satisfaction=S)との関連を「P/S (Business Performance & Employee Satisfactionの略) 評価」として提示します。この「P/S評価」から、高業績をもたらすための人材ポートフォリオ最適化の諸条件を探ります。

経営労務監査のご提案するもの

(1)会社法が企業経営に要請する内部統制の仕組み

現代の企業は、株主のみならず様々なステークホルダーに対する責任を負い、名実ともに社会的な存在です。従って、経営管理体制の整備とその適切な運用状況の確保が、持続的に成長する組織的な企業経営にとって不可欠なものといえます。

会社法は公開会社だけでなく、広く会社経営全体に対して「業務の適正を確保するために必要なもの」として内部統制体制の構築と整備を求めています。内部統制は内部牽制と内部監査に分けて概略を把握することができます。

内部牽制については、組織編成上の兼務を制限する「組織単位での牽制」や職務遂行上の適切な分担による「職務単位での牽制」などを考慮して組織整備を進める必要があります。

 

内部監査は、組織運営が法令や規程に従い適正な権限と責任の行使に基づいて効率的に行われているか否かをチェックし、企業の持続的な成長を支える役割を担っています。

(2)金融商品取引法による内部統制
企業会計審議会内部統制部会が作成公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」によれば、組織の事業活動を支援する下記の4つの目的と6つの構成要素からなっています。

「4つの目的」

1.業務の有効性・効率性

2.法令等の遵守

3.資産の保全

4.財務報告の信頼性

「6つの構成要素」

1.統制環境

2.リスクの評価と対応

3.統制活動

4.情報と伝達

5.モニタリング

6.ITへの対応

なお、上場企業の経営者は、「財務報告の信頼性」について上記の内部統制の構成要素を通してその適正を自己評価し、会計監査人がそれに監査証明を付与することになります。

 (3)経営労務監査の活用
内部統制の目的については、「財務報告の信頼性」以外にも「業務の有効性・効率性法令等の遵守、資産の保全」がありますが、これらについては、上場企業も含め具体的な対応は、個別企業に委ねられています。

特に、この内部統制の目的のうち「業務の有効性・効率性、法令等の遵守」を経営労務面から実施する最適な手法として、「経営労務監査」があります。

・経営労務監査は、人材マネジメントの観点から会社法や金融商品取引法が要請する業務の効率性や法令遵守についての内部統制をサポートすることができる手法ですが、これを企業の経営計画の中に組み込んで定期的な自己評価システムとすることで高い効果を発揮することができると考えています。

・経営労務監査は、法定監査である会計監査と異なり現状では任意監査ですが、それだけに企業ごとに柔軟に工夫して対応できますし、経営のツールとして使い勝手が高いものです。そのことは経営管理体制整備と運用状況を監査する場合にも、単に審査基準をクリアするための単発的なチェックに終わることなく、持続的で健全な企業経営とその成長に真に貢献する監査手法であると確信しています。

 
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